猥雑

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「じゃあなた、お気をつけていってらっしゃい」

妻の和歌子がいつもと同じように、私を玄関まで一緒に来て会社へと送り出してくれる。結婚しても30年になる朝のこの生活習慣は一度も途切れたことがない。

それでも、もう来年は定年の私にとってこの生活習慣ももうすぐ終わるな、と思うと、ずいぶん歳をとったもんだ…という感じする。

そんな私の通勤途中の密かな楽しみは、駅に行くまでの大きな坂道を登っていくことだ。坂道は県下有数の伝統あるお嬢様学校、J女子学園に登校する女子高校生でいっぱいだ。

清潔な若々しいフェロモンが坂の上から風下に漂う中、私は少し若やいだ気分になりながら坂道をゆっくりと登っていく。

女子高生のスカートのプリーツ襞が絶え間なく揺れ動き、スカートの下からのぞく健康的な足がズミカルに動いていく。みな真っ白のソックスを膝下まできちんと伸ばしている。
清楚そのもの、清純そのものであるにもかかわらず、私は毎朝この坂道を登る時とても猥雑な気分を感じてしまう。

J女子学園の生徒は今時の子の女子高生のミニスカート化した制服とは違い、膝下のかなりの部分までがスカートに覆われてわれている。
しかしそれがかえってお嬢様学校の校則の厳しさをうかがわせて、触れてはいけないもの、猥雑な妄想などしてはいけないものとして私に迫ってくる。

きちんとしたスカートの長さが逆に、スカートの下に隠れている真っ白なパンティーを想像させ、膝下まできちんと伸ばされた白いハイソックが、逆に靴下に沁み込んだ女子高生の足の匂いを強烈に、猥雑に感じさせるのだ。


私は坂を登りきり、左手に見える校舎の正門に吸い込まれていく女子高生達を見送りながら、今日も幸福な気分で自動改札機を抜けて駅のホームに入っていくのだった。
出会いがない
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